中洲近辺

6/15

 雨の日はいつも複雑な気分になる。雨が降る中で外に出るのは嫌だなあという億劫な気持ちがあれば、雨のおかげで見慣れた景色すらも違って見えるぞという高揚感もあり、撮りたいがカメラやレンズを濡らすのは嫌だという気持ちまであり、とにかく大変なのだ。

 それでもこうしてカメラを構える日がある。雨が降っていたが、今は止んでいる。そんなタイミングが訪れるだけで私の足は軽やかになる。雨の痕跡を探しながら、ふらふらと奇妙な足取りでミクロな被写体を追い求めている。問答無用の不審者である。

 マクロレンズは持ち歩いていないので、そこまでがっつりと細かい描写は期待できない。それでも寄れるだけ寄って、どうにかこうにかピントを合わせれば多少はそれっぽくなった。問題はいい感じの水滴があまりなかったことと、撮影に割ける時間が短かったこと。物足りない日だった。

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