あるオタクが吐いた愚痴が話題になっていた
オタクが何故オタクなのかといえば、オタクの振る舞いをしてしまうからオタクなんだよね。見た目でオタク扱いされるものも確かに存在する。例えばチェック柄のシャツ。極端な細身、または肥満体型。けれどもそれらは一要因に過ぎず、同じ外見でも人によってはオタク扱いもされない。
ではオタクをオタクたらしめる原因とは何なのか。それは外見そのものというよりは中身、パッションが不安定で極端な言動にあると考える。嫌いなものや興味がないものに対してはドライで、好きなものに対しては恐ろしく早口になるアレが一番分かりやすいんじゃなかろうか。
そんなオタクらしさを痛感する文章があったから紹介してみよう。
なんの漫画好きですかって聞かれて呪術廻戦って答えたら王道ですね〜って言われた。
マッチングアプリの男に言われてうざかったこと (hatelabo.jp)
まじだっっっっっっっっっるい。お前の言う王道は人気作品に飛びついてるって意味なんだろうがこちとらアニメ始まる前から本誌追いかけてみてるんだよ。アニメ始まる前の数少ないジャンフェスグッズ買ってるんだよ。都会のアニメイトに五条ののるキャラ在庫50もなかったの知らねーだろ。浅いんだよてめーの思考。
ほぼ全文を引用する形になってしまった。早速この文章を元にオタクらしさを説明する。
王道に深い意味はない
この方は王道という言葉に対してえらく憤慨している。王道と言われただけで「人気作品だから好きだと思ってんのか→こっちはアニメが始まる前から追ってる(人気になる前から好きだった)んだぞ→ミーハーだと思ってんじゃねーぞ」と飛躍してんだけども、これが実にオタクらしい。
この方を擁護するわけでもないけど、気持ちは分かる。連載開始から追ってる漫画がアニメ化して、「これね、最初から人気になると思ってたんすよ。やっぱなんつーの、オーラが違うっていうかさ。私は分かってたね」と言いたくなることもある。言わないけど。言ったら気持ち悪いから。
インターネット上の文章なんてすべて嘘だと思っても見た方がいい――という意見は置いといて、とりあえず相手の発言を読み取る。「王道ですね」が逆鱗に触れた一言。しかし大した意味はない。「アニメのやつだ→ジャンプ作品か→ワンピースと一緒ですね」くらいの意味しかない。
この方はオタクである自分にコンプレックスでもあるのか、被害妄想に囚われてしまっている。オタクが何かを見て「萌える」「尊い」と一言で表すように、相手も単に一言、「王道」と言っただけだというのに、親友が逆カプだと判明したかのような衝撃を勝手に受けているのだ。
とはいえこの方も相手も人間。もちろん感情というものは存在する。気に食わないから腹を立てる。嬉しかったら喜ぶ。今回は運悪くネガティブに受け取ってしまっただけで、同じ言葉でも言い方や受け取り方で展開は変わる。それに相手が本心から馬鹿にしていた可能性だってある。
ただこの方は王道を悪い意味に受け取ったけど、恐らく相手からすればメジャー少年誌で連載している漫画は全て王道だと思う。アフタヌーンなんかの連載作を挙げればマニアックやマイナーという言葉が出ていた。邪推しただけであって、彼にとって王道にはその程度の意味しかないはず。
まあ相手の本音なんて分からないんだから、好きなように受け取ったらいいとは思う。
自分の意見を控えるのが大人とは限らない
王道が引き金を引いたのは仕方ない。オタクには譲れないものがある。時には感情的になって思いをぶつける必要もあるだろう。どうして怒ったのか、という点については先述した。これからようやく本題に入るんだけども、割と遠慮なく書くから気に食わない人はそっと閉じてほしい。
この方は王道扱いをミーハー扱いと捉えて激高した。その一点についてしか書かれていないせいで一つの大きなテーマとして表現されてるんだよね。でもこれは会話の一部。それもマッチングアプリで会った男の言葉。王道も呪術廻戦も会話のネタでしかなく、この方がデリケートすぎる。
腹に据えかねる発言だったら、「ミーハーじゃねえぞ!」と文句の一つでも言ったらいい。大人ぶってその場は収めても、匿名で相手の外見を貶しながら愚痴を吐いているようではみっともない。その場でいえる勇気がなかったのだとしても、せめて友人だけに話せばよかった。
相手がかなり性格が悪い人だったら、この方の意見をそのまま受け取ってもいいとは思う。ただマッチングアプリで会ったということは、相手も恋人や結婚相手の候補として顔を合わせたはず。もしかしたらセックス目当ての可能性もあるけど、少なからず好かれたいとは思っている。
相手を知る場で自分の感情を伝えず、インターネット上で吐露する。会社ならともかく、出会いを求めているはずの状況でなぜ遠慮するのか。波風を立てると殺されると思ったんなら無理もない。しかし個人を特定できる要素を自ら晒すということは、そこまででもないだろう。
感情をひた隠しにして、相手がそれに興味を持っていると思えば饒舌に語る。この生き様が染みついている者ほどいわゆるオタクに見えやすい。皮肉なことにオタクだからと遠慮すればするほどにオタクらしさが滲み出てしまう。嫌いなら嫌い。好きなら好き。感情は出していくべきだ。
問題はどこまで感情を出すかであって、この方の場合は「連載開始から見てる」と言えばいい。「ジャンフェスでグッズ買った」まで言えば熱心な人で、アニメイトで在庫がどうのと言い始めたらオタクとしてではなく、聞いてもいないことをぐだぐだ語る人として気持ち悪く思われる。
オタクは嫌われている。そう思えば気が楽になるのも確か。けれどもその根底にあるものは、理解できない恐怖や得体のしれない薄気味悪さでしかない。オタクだから嫌われているのではなく、嫌われる特徴を持った人が己の心を守るべくオタクを自称しているに過ぎない。
中にはオタクであることを誇りに思っている人や、オタクだと自ら公言する者もいる。そういった方々はさっぱりしている人が多く、程度の差こそあれど自分の意見というものを出してくる。「それはどういう意味?」とすぐに切り返すだろう。そういう人はそこまで嫌われない。
オタクとはなんぞや
結局どんな人がオタクに見えるのかというと、自分自身がオタクだと認めて(或いはそう信じ込んで)いて、意見を出し惜しみするのが美学だと思っていながら、いざ自分の発言を容認される機会を得ると聞いてもいないことまでべらべらと喋ってしまうような性格の人だろう。
芸能人がアニメやゲームに熱中していてもオタクっぽく見えないのは、芸能界で生きていくだけのコミュニケーション能力があるからに他ならない。自称オタクで外見が特徴的な芸人が気持ち悪いと言われることもあるが、それも外見の問題であってオタクだから気持ち悪いのではない。
仮にオタクっぽい外見であっても、言動にさえ気を付けていればオタクそのもののイメージからは離れられる。逆にどれだけ外見を気にしたところで、言動がオタクのままではオタク扱いを逃れられない。どちらにせよ自分らしさ、人間味は出していかないと不気味な存在になるけども。
人間味を出すってのは感情を出していくってことであって、自分の趣味嗜好を全部ぶつけるのは別。いくら名作でもいきなりエロゲとかを布教するのはやめよう。そういうものは最低でも、一般向けアニメ→萌えありのゲーム→ギャルゲー→エロゲと段階を踏まないといけない。
もう二度と、いきなりエロゲの話題を振って友人を失う人が出てきませんように。
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